アドバイス集 Q11-開発部-

特活指導者が担任になると、どんな学級経営が展開されるのか?

特活指導者が学級経営を展開していく上で、次の3つのことを大事にしています。それは、「かかわり合い」「認め合い」「居場所づくり」です。

「かかわり合い」とは、一人一人が知り合えて、つがなりをもてることです。これは、すぐにできることではありません。日常生活を積み重ねることで深い友達付き合いにつながっていくと考えます。そのため、特活の時間だけではなく、学校生活(各教科の授業、座席、小グループづくり、話し合いなど)など、いろいろな場面でかかわり合えるように考えています。

「認め合い」とは、一人一人のよいところや悪いところをわかり合える関係づくりです。係活動や集会活動などの自主的・実践的な活動を通して、どの児童も全員が活躍できるような場をつくり、そうした活動の中から仲間のよさを見付け、認め合えるような振り返りを行っていきます。

「居場所づくり」とは、みんなが自信をもって意見を言えるような学級の雰囲気をつくることです。学級全員がいろんな意見を出し合い、よりよい人間関係を築いていく上で、学級の中での居場所づくりは、とても大切です。そのために、話合い活動の場面での反対意見の言い方の指導のときには、「あの子が言ったから反対です。」というような人格を否定するような発言ではなく、「○○さんの◇◇という意見に反対です。」というように意見に対して判断できるように意図的に教師が指導をしていくのも居場所を確保する上で大切なことです。

このようなことを積み重ねていくことで、「仲間から必要とされていること」「自分も役に立っていること」を実感することができ、よりよい人間関係を築いていこうとする児童の多い学級経営が展開されると考えます。

「お話の種」で学級経営

小学校1年生の担任をしたときのことです。子どもたちから上がった議題(お話の種)について、学級会での話合い活動を少しずつ進めると、議題ポスト(植木鉢)に多くの「たのしみだね」が入るようになりました。それには、4月には初めての学校探検、毎週業前に行う児童集会、6月にはペア給食、9月には全校スポーツ集会・・・と、入学以来お世話になってきたペア学級の6年生に「ありがとう」の気持ちを伝えたいという言葉が、たくさん書かれていました。

「給食の準備が上手になったから、今度は自分たちがペア給食に招待して楽しませたい」「6年生に教えてもらって大縄が跳べるようになったから、今度は自分たちが大縄を回して跳んでもらおう」・・・などから、みんなで無理なくできて6年生全員に喜んで(楽しんだり、成長したところを見てもらったり)もらえるものということで、1年生主催の「ペア給食」を行うことになりました。

給食室から運ぶところから配膳、片付け、そして配膳中の出し物まで、子どもたちは考えを出し合い、協力し合って、実にしなやかにやり遂げることができました。自分たちで考え、自分たちで準備して、全てやり終えた後の子どもたちの満足感あふれる笑顔は、今でも忘れることはできません。

このような子どもたちは、何もしなくても育つわけではありません。「こんな児童を育てたい」という思いがあり、そのために意図的に積み重ねた指導や手立て、日頃の声掛けがあってこそ生まれるのだと考えます。私は子どもたちに、うれしかったこと、楽しかったこと、残念だったこと、そして、友達がどう感じたか、どう思っているかなど・・・学校生活の中で、たくさん心で感じ、表し、自分たちでよりよい学校生活を築くことのできる子どもになってほしいと願っています。

(生活科の授業で)4月、生活科でアサガオの種をまくときのこと。一斉に目を開けて目の前の種と初めて出会う演出をすると、子どもたちはみな「ちっちゃ~い」 「かわいい!」など大喜びでご対面をします。そんな種を一人一鉢の植木鉢にまくと・・・どの子も毎朝、忘れることなく水やりをして大切に育てます。発芽、本葉やつる、つぼみなど、新しい発見をしたときは、「先生、あのね」から始まる「あのねちょう」に感じたことを表しました。

(常時活動として)この「あのねちょう」には、アサガオに関することだけでなく、日頃から大きく心を動かすような出来事があったときに、日常的に取り組んでいました。もちろん、6年生との活動の後にも、たびたび「あのねちょう」に感じたことを表していました。

(学級活動で)アサガオの種を大切に育て花を咲かせた体験をした1年生に「お話の種をみんなで咲かせよう」と呼び掛け、話合い活動のきっかけを作りました。種の絵を描いた「たのしみだね」「こまったね」という2種類の用紙を用意しておき、クラスが楽しくなるような提案・困っていて何とかしたいことを書いて、植木鉢の形のポストに入れるようにしました。

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Q12 小学校の特活と中学校の特活はどこが違うのか?

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