アドバイス集 2章Q06-開発部-

学級活動を重視すると、教科の授業がどのように変わるのか。

まず、学級活動を重視することで、子ども同士の関係が温かく受容的になります。また、どのような子も、その学級にいることの安心感をもつことができます。そのような学級では、子どもの発言が多くなったり、活発に話し合い活動が行われたりするなど、子どもが生き生きと学ぶ授業が展開されます。

1 学級活動を重視すると、温かく受容的な学級に成長します!

学級活動は、お楽しみ係による集会活動だけではありません。日々、学級をよりよくしようと行われる係活動や、自分たちの日常生活の問題点を話し合い解決する話し合い活動など様々あります。

学級担任として、目の前にいる子どもたちの様子から、適切な活動を展開していきます。様々な活動を通して、子どもたちが、「学級目標の達成のために自分ができることは何だろう」「みんなが仲良くなるためにはどんな集会活動がいいのだろう」と考えることができたり、「学級のために自分の力を発揮することができた」とか「自分の頑張りを友達に認めてもらうことができた」という思いをもつことができたりすることを目指します。そのような経験を重ねていくことで、友達のよさを認め合うことができ、学級への所属感を高めることができます。温かく受容的な学級になるのです。そのような学級においては、教科学習の理解も深まります。子どもたちが、伸び伸びと学習に取り組むことができるからです。

2 温かく受容的な学級では、こんな授業になります!

1) 学習への意欲が高まる!

自分の考えや発想が、仲間から認められるので、自信をもって様々な活動に取り組むことができるようになります。学習への取り組みも同じです。

たとえば、算数の学習を例にしてみます。算数は求める正解がはっきり決まっています。得意な子ばかりが、学習をリードしがちになりますが、話し合い活動を取り入れることで、いろんな子が発言し、学習に積極的に参加できるようになります。ここで、話し合うことは、問題の解き方ではなく、その解き方を踏まえた上で、「より分かりやすい説明はできないか」ということです。分かりやすい解き方を考えるには、まず、解き方が分からない子にどこが分からないか聞き、はっきりさせる必要があります。解けない子の疑問が、分かりやすさを追求するときのカギになるのです。このような活動に取り組むことで、学習への意欲が低い子も、周りの様子をうかがうことなく、自分の分からないことを話せるようになる。それが学習の原動力になっていく。学習への意欲がどんどん高まっていくのです。

また、得意な子にとっても、問題の解き方を考えたり、分かりやすく説明したりする中で、学習への理解が深まります。このように、学級にいる全ての子にとって、有意義な学習活動が展開されるのです。

2) 話し合い活動が活発になり、問題解決をする力が身に付く!

子どもが自分の考えを安心して話す学級風土が醸成されているので、間違った答えや、解答から遠回りと思われる考え方も、まず学級の仲間から肯定的に受け止められます。たとえば、社会科の「自動車をつくる工業」の学習で、「人と環境にやさしい自動車づくり」について考えるとします。自分なりに考えて、ある子が「空を飛ぶクルマ」と発言したとします。まだ十分に育っていない学級では、「クルマが空を飛べるわけない」、「空を飛んだらもはやクルマじゃない」などと、否定的な意見が出されることでしょう。しかし、温かく受容的な学級においては、「空を飛べるとどんないいことがあるの?」とその発言を掘り下げたり、「渋滞解消のために、空を飛ぶっていうことかな?」と付け足しの発言をしたりして、その子の考えも受け入れ、問題解決に向かいます。子どもたちの力で、前向きによりよい解決策を探ることができるようになるのです。みんなで、考えを出し合って、みんなが納得しながら解決策を求めることができる、いわゆる集団思考が育つのです。文部科学省が推進している、「主体的・対話的で深い学び」の実現につながります。

あたたかく受容的な学級と「主体的・対話的で深い学び」

次期学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」を展開するために、学習過程の改善が求められています。それを受けて、名古屋市教育委員会も、『なかまなビジョン』を打ち出しました。子どもが目を輝かせて、学習に意欲的に取り組むことができるような授業を展開していかなくてはなりません。

「主体的・対話的で深い学び」の大きな特徴の一つに、「なかまと対話する」ことがあります。自分の考えを発表したり、なかまの意見を聞いて、さらに自分の考えを深めたりすることが大切です。このような「なかまと対話する」ときの、前提となるのが、「温かく受容的な学級」です。先述のように、学習の得意な子も苦手な子も、同じように堂々と自分の考えを発表できる環境がなくては、「主体的・対話的で深い学び」は成立しません。『なかまなビジョン』にもあるように、「互いを認め合う学級の雰囲気」の上に成立するのが、「主体的・対話的で深い学び」と言えます。

話し合いのスキルを鍛えることと同時に、影響力の強い子しか発言できないような話し合いにならないためにも、まずは、温かく受容的な学級を作り上げることが、話し合い活動を展開していく上で、一番のカギとなるでしょう。

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2章Q07 建設的な話し合いを行うために、どんな指導を大切にするか。

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